「衣紋(えもん)掛け取ってくれる?」と言われて、それ何のこと!?と、びっくりして聞き返したことありませんか?
衣紋掛けは、衣類を掛ける道具と言う意味では、ハンガーと違いはありません。
ハンガーのことを衣紋掛けと呼ぶのは高齢の方に多いですよね。なぜハンガーを衣紋掛けと呼ぶのか気になりませんか。
会話の中では同じ意味がありますが、実は、衣紋掛けは着物を、ハンガーは洋服を掛けて吊るす道具、という違いがあります。
衣紋掛けとハンガーの違いと、その呼び方が変わった理由が気になったので調べてみました!
また、もう死語と言われる、衣紋掛け。他にもファッション用語の中には、気づけば死語になっている言葉があるので、ご紹介します。
もしかするとあなたが使っている言葉にも、死語があるかもしれませんよ。
衣紋掛けとハンガーに違いはある⁉
衣紋掛けとハンガーの違いは、着物を掛けるのか、洋服を掛けるのか、にありますが、日常会話の中で使われる時には、意味に違いはありません。
もし会話の中で「衣紋掛けとって」と言われたら、それはハンガーのことを指していますよ。
しかし、「衣紋掛け」という言葉を耳にする機会そのものが、減ってしまいましたよね。
私の母はよくハンガーのことを「衣紋掛け」と言っていたので、私は何も考えず「ハンガー」のことだと脳内変換されていました。
私も外では「ハンガー」と呼ぶので、若い方の中には「衣紋掛け」と言われて、わからない方がいるのも当然です。
本来の意味である衣紋掛けとハンガーとの違いとは何なのか、衣紋掛けから順番にご紹介していきます♪
衣紋掛けとは?
衣紋掛けは、着物を掛けて吊るしておくための道具です。
衣紋掛けとは、長い直線状の棒を、着物の袖に通して、広げて吊るしておくことができる道具です。
ネットショップで衣紋掛けと検索すると、「着物用ハンガー」という言葉が出てきます。
衣紋掛けは、着物を掛けるためのハンガー、わかりやすい表現ですね。
日本でも洋服が着られるようになった昭和頃まで、どこの家庭でも着物を箪笥(たんす)に畳んで保管していました。
着物を湿気から守るために、定期的に衣紋掛けに掛けて干したり、着用後の汗を飛ばすために、衣紋掛けに掛けて乾かしたりしました。
今のハンガーのように収納する役割と言うよりも、乾かすことが衣紋掛けの役割だったのですね。
また、成人式などで着物を探しに行くと、着物を広げて飾っているのを見かけます。
衣紋掛けの他にも、衣桁(いこう)とも呼ばれる鳥居のような形をした着物掛けもあります。
衣桁に掛けた着物は、柄が綺麗に映えるので、部屋に飾る家具としても使われていました。
ハンガーとは?
ハンガーとは、洋服を掛けて吊り下げて収納することができる道具です。
色々な形状や素材のものがありますが、肩幅程度の短さになっていて、洋服を掛けて吊るすことができます。
洗濯した洋服を干したり、洋服をクローゼットに収納したりする際に使われますね。
ハンガーは100円ショップなどでも気軽に買える、収納グッズの一つです。
ベルト用や、ズボンやスカートを掛ける専用のハンガーもあり、とても便利ですよね。
衣紋掛けも、ハンガーも、衣類を掛けて吊るす道具、という点では同じです。
以前は、衣紋掛けと呼んでいたのに、なぜハンガーと呼ばれるようになったのでしょうか。
次章では、衣紋掛けからハンガーに呼び方が変わった理由を、ご紹介します。
衣紋掛けからハンガーに変わった理由は?
衣紋掛けからハンガーに変わった理由は、日本人が、着物から洋服を着るようになり、ハンガーが普及してたためです。
明治時代以降、それまで着物を着ていた日本人も、富裕層をはじめとして徐々に洋服を着るようになります。
しかし、当時は洋服もハンガーも、国内での製造は少なく、外国から輸入する高級品でした。
着物と同様に、箪笥(たんす)から出して、シワを伸ばしたり、着た後の汗を乾かしたりするためにハンガーが使われました。
当時のハンガーは、大きい衣紋掛けが、肩幅程度に短くなったもので、ハンガーよりもコンパクトな衣紋掛けに近い形状でした。
一般家庭では、ハンガーが高級品だったこともあり、これまで着物を掛けていた衣紋掛けに、洋服を掛けていたと言う話もあります。
その後、昭和30年頃から洋服を着る人が一気に増えて、日本でも安価なプラスチック製のハンガーが大量に製造されます。
一般家庭でも、箪笥からクローゼットへ変わり、洋服を掛けて収納するためにハンガーが使われるようになります。
一方で、着物を着る機会は減り、衣紋掛けを持っている家庭もどんどん減っていきました。
衣紋掛けを持たない世代が増えていき、衣類を掛けるものはハンガーと呼ばれるようになります。
高齢の方が、ハンガーを衣紋掛けと呼ぶのは、衣類を掛けるものは「衣紋掛け」という時代があったからなのですね。
ここまで、衣紋掛けからハンガーに変わった理由をご紹介しました。
衣紋掛けからハンガーに変わった理由を調べたら、着物から洋服へ時代の移り変わりを垣間見ることができました!
はじめて洋服を着た女性たちは、どのような気持ちだったのでしょうか。想像すると私もワクワクします♪
次章では、どんどん変わっていくファッションの中で、衣紋掛けのように死語になってしまった用語をご紹介します!
衣紋掛けはハンガーの死語!?
ハンガーのことを衣紋掛けと言って、「それは方言ですか…?」などと後輩に聞かれたら、恥ずかしくなりますよね。
残念ながら、若い世代にとって衣紋掛けは、死語になっています。
他にも、死語まではいかなくても、うっかり使うと少し恥ずかしい!という言葉、ファッション用語にはいくつかあったので、ご紹介します。
- トックリからタートル
- チョッキからベスト、ジレ
- スパッツからレギンス
- ジーパンからデニム
- トレーナーからスウェット
あなたが使っている用語は、ありましたか?アラフォーの私は、半分くらい怪しいのがありますよ。
セーターなどについている、首回りを覆う高い襟の一種のことです。
トックリを使うのは、衣紋掛けと同じくらいの世代のイメージです。
祖父母に説明する時に使う程度で、私も普段使いはしていません。
袖のない、胴着のことです。一般的には、前開きになっています。
チョッキも、トックリや衣紋掛けと同じ世代のイメージですよね。
ただ、ベストからジレに言い換えができているかと言われると…私はできていません(汗)
おしゃれな人が着ているベストが、ジレなのかな?くらいの感覚です。
伸縮性のあるボトムスのこと。腰から足首までぴったりと身に沿っています。
レギンスは、衣紋掛け世代と比べると、使う年齢層が若くなるのではないでしょうか。
私の中では、最近ようやくスッと言えるくらいに浸透してきた用語です。
デニム生地でできた、カジュアルなボトムスのことです。
デニムってジーパンの生地のことじゃないの?と思いつつも、お店で店員さんに聞くときは、デニムと呼んでいます。
伸縮性、吸汗性、防寒性がある厚手生地のトップスのことです。
スウェットと聞くと、だらしない服装のイメージをしてしまいますが、今はそのようなことはないですよね。
子供用のスウェット、ネットショップで検索する時には意識して使っています。
他にも衣紋掛けからハンガーのように変わっていった言葉、探せばたくさんありますよね!
私も母が「衣紋掛けが…」と言った時、「ハンガーね」と冷やかに指摘していました。
これからは私が息子たちに「トレーナーとジーパンじゃなくて、デニムとスウェットね」と指摘される立場になりそうです。
しかし、年配の方とお話しする時は、衣紋掛けやトックリと言った方が、すぐに理解してもらえて、話がスムーズですよ。
死語と言って使わないのではなく、話す相手によって使い分けていきたいですね♪
まとめ
- 衣紋掛けとハンガーの違いは、着物を掛けるか、洋服を掛けるかにある
- 衣紋掛けとハンガーは日常会話の中では、違いはなく同じ意味で使われる
- 衣紋掛けとは、着物を汗や湿気から乾かすときに使われた長い棒状の着物用ハンガーのこと
- ハンガーとは、洋服を掛けて干したり、吊るす収納に使われる道具のこと
- 衣紋掛けからハンガーに変わった理由は、日本人が着物から洋服を着るようなり、衣紋掛けが使われなくなったから
- 洋服の普及をきっかけに、それまで高級品とされてきたハンガーも日本で安価に生産され、普及していった
- 以前に比べ、衣紋掛けを持つ家庭が少なく、衣紋掛けという言葉を知る機会も少ない
- ハンガーを衣紋掛けと言うのは、死語と言われるようになった
- ファッション用語には死語に近いものが多く、トックリ、チョッキなどがある
当たり前に使っていた言葉が、若い世代には通じなかったり、もう昔の言葉になってしまうことを衣紋掛けを通じて学びました。
当たり前が、遠い昔の出来事になると思うと時代は回っているんだな、と実感しますね。
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